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人類の未来に対する4人の提言
2007年の夏、退職間際の半月ほどを利用して、初めてインドを旅行し、帰国したときのことでした。飛行機は定刻通り房総半島を通過し、私は成田に着陸する間際の千葉のきれいに区画された田んぼを眼下に眺めていました。インドの区画も同じように1~3反区画ほどですが、直線で区切られているというより曲線だらけでした。この日本の秩序、一億人が効率的に新陳代謝を行える大地、豊かな水、豊かな緑に恵まれた日本、これに対して砂漠とデカン高原と、ガンジスなどの大河一帯の肥沃な大地の織りなす広大なインド、あの赤土と、スコールと、リクシャと雑踏と、重なるようなスラム街のインド、このように、あまりにも日本とはかけ離れたインドの空間が成田に近づくにつれて逆にはっきりと心に焼きついてきたのです。
成田空港内ロビーのこの秩序、明るさ、清潔さはインドには絶対無いものでした。駅の秩序、電車の快適さ、自宅についてまたびっくりしました。たった半月の留守でしたが、自宅の玄関が、居間が、自分の洋室が異様に見えてきたのです。どういうわけか、めまいさえ感じました。きちんと整理され、パソコンが置かれ、クーラーがあり、窓の外も舗装された道路で、何もかもが整理されており、清潔な空間でした。インドの空間とはあまりにもかけ離れたものでした。
二年後、私は再び半月ほどインドを訪れました。しかし、帰国時に同じような感慨はおこりませんでした。日本とインドの違いが頭の中で図式化されてしまったからでしょうか。それでも私の心にはいつでもインドで出会った人々の仕草やまなざしが生き生きとよみがえってきます。それらは社会や組織に閉じ込められたようなまなざしではなく、もう少し自然で、自由で、霊的とも思えるほどの輝きを放っていました。彼らはそこで我々の知らないもっと多くのものと交流しているようにも思えました。
二度目のインド訪問で私は南インドの人々に、私が「タラの芽庵」という山小屋で考えたことを英訳したパンフレットを持参して配り、読んでもらいました。それがここでもお読みいただきたいと思っている「タラの芽庵便り」です。
私ももうすぐ63、残された時間はあと20年ほどでしょうか。あと20年で自分に何ができるかなど、自分を過大評価するような気持ちはありません。自然に逆らわず、節制して簡素な生活をたんたんと生きて、そのまま死を迎えていくのかもしれません。しかし世の中がこうも肥大化して、経済や情報がグローバル化し、民主主義の名の下に同じようなパタンが世界中どこでも繰り返されるようになると、なんだかこのままでいいのかなと思うときがあります。先進諸国では少なからぬ人々の生活にむなしさが漂い、アフリカやアジア、南米などの開発途上国では相変わらず紛争と貧困が同居しているように思えます。そうした中でインドから学んできたことを糧として、微力な自分なりに何かお話しできるのではないかと考えてこのホームページを立ち上げることにしました。
(2011年6月19日 大木邦夫)
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*2017年6月に人間の未来に対する3人の提言を掲載しました。これから徐々に充実させていく考えです。
*2018年8月に上記を人間の未来に対する4人の提言と変更しました。変更後のアイアーさんのコメントは
IOM ProposalのIOMR Proposalへの進化について(28/Aug/2018) に掲載されています。
*2019年6〜8月に若者の世代のためのマハーバーラタの解説として「古代インドの長いお話(1〜4)」
をやまぼうしブログに掲載しました。ご覧ください。
*「サラリーマン常磐満作の時間」は、書籍となりました。2021年3月17日からAmazon等にて購入できます。
*ホームページの一部は「ポットをたたきわるハリジャン」として書籍となりました。2021年10月4日から
Amazon等にて購入できます。
*2023年11月から、私家版として友人たちに配布した音楽CD「音楽の贈り物」について解説しました。
*2023年11月から、書くことと発表すること(個人的な歴史)を掲載しました。